新宗教の今後

スマホ社会において新宗教が再生されていく可能性はほとんどない。フランスの社会学者、エミール・デュルケムが指摘したように、宗教と集団的な熱狂とは深く結びついている。以前の新宗教にはその熱狂があった。スマホの映像で熱狂することはあるかもしれないが、それは個人の熱狂で、集団的なものではない。新宗教のなかで、唯一信者の数を増やしているのは真如苑だが、ここは組織活動を奨励しておらず、本部には毎日多くの人が集まってくるが、熱狂の面は欠けている。熱狂がないからこそ、この教団は信者を増やしてきたのだ。

新宗教の幻想の政治学は、スマホにそれを提供する役割を奪われた。陰謀論は、これからも人々を魅了していくのかどうか。鍵はそこにある。

【関連記事】
【第1回】なぜ旧統一教会は自民党議員にアプローチするのか…議員たちも気づいていない本当の理由
なぜ人は歪んだ教義を信じるのか…佐藤優「まっとうな宗教とカルト宗教をわける決定的な違い」
「教祖写真や教団本が散乱し、ゴキブリが繁殖」信者の母親に一切頼らず高校大学の学費を払った女性の生き様
ある日突然、SNSから"消えて"音信不通に…「人間関係リセット症候群」を患う若者がジワジワと増えるワケ
なぜロシアや中国は他国を侵略するのか…世界情勢が小学生でもよくわかる「地政学」超入門