飲食店での迷惑行為が社会問題化している。とりわけ回転寿司店がいたずらの標的になるのはなぜなのか。外食産業を取材するライターの齋藤訓之さんは「回転寿司店は省人化を徹底しており、入店から会計まで店員と会わないことも珍しくない。ひとの目がないため、客がプライベート空間と誤認してしまっている」という――。
回転寿司店で客の迷惑行為が横行する理由
回転寿司大手「スシロー」で撮影されたお客の迷惑行為の動画について、親会社のFOOD & LIFE COMPANIESは、対応を開始している旨を1月30日に発表した。さらに、2月1日には、対象店舗の特定と当座の対策などを発表したが、被害届を警察に提出したこと、迷惑行為を行った当事者と保護者からの謝罪があったこと、しかし会社としては引き続き刑事・民事両面で厳正に対処していくことも記されていたため、改めて、“事の重大さ”を社会に印象づけることとなった。
折しも、「はま寿司」「くら寿司」でのお客による迷惑行為動画が話題になっていたところであり、また、回転寿司以外の外食チェーンでのお客の迷惑行為も相次いで発覚し、耳目を集めている。
いまなぜこのようなことが続くのか。対策はどう考えるべきなのか。そして、今後回転寿司や外食チェーンはどうなっていくのかを考えたい。
調味料などへのいたずらは過去にもあった
まず、飲食店でのお客の迷惑行為自体は、実は新しい問題ではない。筆者は外食業向けの経営情報誌の編集者だったが、迷惑なお客とその対策といった趣旨の特集はしばしば組んだし、概してそうした記事の反響は大きかった。つまり、この種の事案に困っている飲食店の経営者は以前から多かった。
迷惑の内容は、店の仕組みやルールに従ってくれない、他のお客に迷惑をかける、シュガーポットや調味料、つまようじなどの容器にいたずらをする、食器や備品を壊したり盗んだりする、さらには店員に暴力を振るう――といったものだった。そのため、昨今話題の迷惑行為それぞれの内容は、筆者にとってはさほど目新しいものとは感じられなかった。以前と違うのはその伝わり方だ。