日本での損害額は年間2000億円

飲食店などを予約したまま無断キャンセルする「ノーショー」(No Show)が問題になっている。経産省のレポートによると、損害額は年間2000億円。1日前、2日前までのキャンセルを含めると1兆6000億円に及ぶ。

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写真=iStock.com/Yusuke Ide
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この問題に対し、海外では後払いの慣行を見直したり、キャンセル料金を請求したりする動きが広まりつつある。なかには1人あたり100米ドル(6月11日のレートで約1万5700円)を請求するケースが増えているという。

ノーショーによる店側の損害は、めぐりめぐって、わたしたち一般利用者が支払う代金に転嫁されているのが実情だ。キャンセル料金の導入は、一部の人々による身勝手なキャンセルを防止する、有効策となるだろうか。

ニューヨークでも「キャンセル料」を取る店が増えている

ニューヨーク・タイムズ紙は、キャンセル料金を導入したレストランを紹介している。

米ニューヨーク市ブルックリン地区で営業するアジア系レストラン「チノ・グランデ」は、2022年8月から20ドル(約3100円)キャンセル料金の導入に踏み切った。

総支配人兼共同オーナーのエリカ・ホール氏は、2022年初頭にニューヨーク市でソーシャルディスタンスのルールやワクチン接種義務が緩和されて以来、無断欠席やキャンセルが増加したと語る。キャンセル料の導入は変わりゆく環境に対応するためだった。

効果はてきめんだった。ノーショーは90%減少し、直前キャンセルも以前の3分の2に減少した。

ホール氏は、ニューヨーク・タイムズ紙に対し、「キャンセル料は、予約を現実のものだと認識させてくれる効果があります。(店との)約束であることを忘れないのです」と述べている。

直前でのキャンセルはまだ発生することがあるが、少なくともキャンセル料を避けるため、顧客は連絡を入れてくれるようになった。チノ・グランデでは、ディナー営業が始まる午後6時まで、予約のキャンセルを受け付けているという。