「誠実な客」を守る仕組み

客にとって、ノーショー料金のメリットは見えづらい。導入済みの店舗でも、戸惑いの声があるようだ。一方、直前のキャンセルや無断キャンセルが蔓延する飲食業界などではいま、店舗として何らかの手立てを講じざるを得ないのが実情だ。

より長期的な視点に立てば、予約した店舗に誠実に足を運んでいる客にとって、キャンセル料はより公平なしくみでもある。現状、キャンセルされた食材は店の損金となり、約束通り店に出向いて食事をした客たちが支払うことで、その損金は埋め合わせされている。キャンセルする側が、店に生じた損害の少なくとも一部を負担するしくみは、フェアなしくみだ。

ジョンソン・アンド・ウェールズ大学ホスピタリティ・マネジメント学部のブライアン・ウォーレナー教授(飲食オペレーション・マネジメント)は、CBSに、キャンセル料は「ほとんどのレストランが好まない行為、すなわち料理の値段を調整する(上げる)行為よりも、優れたモデル」であるとの見解を語る。ノーショー料金だけで損害を補塡ほてんすることはできないが、無責任なキャンセルに対する抑止力になるとウォーレナー氏は論じる。

祝賀会 乾杯 屋外ダイニング
写真=iStock.com/Edwin Tan
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日本でも大人数の予約キャンセルがしばしば問題になっている。廃棄される食材が惜しまれるのはもちろんのこと、私たちが支払っている料理代金やサービス代金の一部にその補塡分が含まれていると考えると、何とも言えない気持ちになる。身勝手な問題行動を抑制するため、キャンセル料金の導入はひとつの有効な手段と言えそうだ。

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