インターネット閲覧中に警告画面を表示し、偽のサポート窓口へ誘導して金銭をだまし取る「サポート詐欺」が急増している。どうすれば身を守れるのか。ライターの高橋ホイコさんは「表示された電話番号に連絡しないことが重要だ」という。国民生活センターに取材した――。
ラップトップを開いているシニア男性
写真=iStock.com/Sorapop
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急増しているインターネット上での「サポート詐欺」

インターネット閲覧中にパソコンに問題が起きたかのように見せかけ、偽のサポート窓口へ誘導する“サポート詐欺”が増加しています。なかには100万円をだまし取られた事例もあり、注意が必要です(国民生活センター「パソコンで警告が出たらサポート詐欺に注意! 」2024年3月27日)。

国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた2023年度の相談件数は7441件。ここ数年は5000件台を推移していましたので、急に増えたと見ていいでしょう。

お金を奪い取るまでのやり口は本当に狡猾です。いったいどんな手口で、どんな人が被害に遭いやすいのでしょうか。国民生活センターに取材をしました。どうやって人をだましているのか、実態を見ていきましょう。

※消費生活センターは、商品の購入やサービスの利用に関する契約トラブルの相談を受け付ける都道府県・市区町村の機関。国民生活センターは、これらの機関に寄せられた苦情相談情報を収集し、情報提供を行っています。

インターネットバンキングを悪用され100万円を送金

“サポート詐欺”とはどんな手口なのか、事例をひとつ紹介します。この相談者は、インターネットバンキングを悪用され100万円も送金させられてしまいました。

パソコンでインターネットを利用中に突然、大音量の警告音が鳴り「ウイルスに感染した可能性がある」と警告画面が表示された。マイクロソフト社を名乗る電話番号が表示されたので電話をした。
片言の日本語を話す外国人らしき人が出て、パソコンを遠隔操作で見てもらった。インターネットバンキングについて聞かれ、「最近利用した」と答えるとログインするように指示された。
パソコンの修理代として100円を請求され、パスワード等を入力した。すると、インターネットバンキングの画面で送金額を100円としたはずなのに遠隔操作によって100万円に変更されていた。
すぐに電話を切って、銀行に電話をし口座を凍結してもらったが、すでに100万円が送金されてしまっていた。(2023年7月受付 70歳代 男性)

事例を読んだだけでは、“なぜだまされてしまったのか”ピンと来ない人も多いと思います。「なぜ、ウソの警告画面を信じてしまったのか」「なぜ、表示された連絡先に電話してしまったのか」「なぜ、インターネットバンキングにログインしてしまったのか」、そういった疑問が湧いてくるかもしれません。

そこにはつい信じてしまう、巧妙な仕掛けが張り巡らされています。どんな状況で、どんな警告画面が表示されるのかを次に説明します。