回転すしチェーン首位の「スシロー」は、コロナ禍で外出自粛が長引いたにもかかわらず、過去最高の売上高を叩き出した。なぜこのようなことができたのか。淑徳大学経営学部の雨宮寛二教授は「スシローには、競合他社が真似できない3つの独自戦略がある」という――。

※本稿は、雨宮寛二『2020年代の最重要マーケティングトピックを1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

「スシロー ユニバーサル・シティウォーク大阪店」の外観
写真=時事通信フォト
「スシロー ユニバーサル・シティウォーク大阪店」の外観=2021年12月8日、大阪市此花区

コロナ禍でも好調を支える「3つの戦略」

スシローは、郊外の顧客だけでなく繁華街の顧客もターゲットにする全方位戦略を展開してきました。「都市型店舗」として出店攻勢をかけ、2021年3月には、新宿に「スシロー新宿三丁目店」をオープンさせています。

スシローでは1皿120円が最安値皿ですが(※編集部註:10月1日に110円から120円に価格改定があった)、家賃が高い都市型店舗では1皿150円が中心です。それでも顧客の満足度は高く、顧客の心をしっかりとつかみ都市部の需要を取り込むことに成功しています。その背景には、スシロー独自の3つの戦略があります。

1つ目の戦略は、「定番寿司メニューの強化」です。回転寿司業界では、「回転レストラン」と言われるように、どの寿司チェーン店でも寿司以外のサイドメニューを豊富に取り揃える傾向が加速しています。たとえば、くら寿司はイタリアンシリーズを発売して、和風だしのカルボナーラなどを展開しましたし、かっぱ寿司ではビーフ100%ハンバーグをメニューに打ち出したことがありました。

このように、各社がメニューのバラエティー化を競い合ってきましたが、スシローはこうした路線とは一線を画し定番寿司メニューの強化に取り組んできました。スシローが最も重視したのは、まぐろやはまち、サーモンなど120円の定番ネタの味の追求でした。

強みは「素材」と「客を待たせない仕組み」

たとえば、まぐろの赤身は従来のキハダマグロを減らし、濃厚でまぐろの味が強くて美味しいとされる40キロ以上のメバチマグロにしました。原価は高くなりますが、スシローとしてはメバチマグロの大きく安定したタイプの方を顧客には届けたいとの思いがありました。

また、通常、身質チェックは尻尾だけですが、食べる部位である中心部まで確認して、合格したものだけを仕入れるという厳しいチェック体制を取りました。これも定番を強化するために加えた選別方法であり、定番を徹底的に強化することで顧客をつかむとの狙いがあったといえます。

2つ目の戦略は、「客を待たせない仕組み」の構築です。回転寿司では皿に載せた寿司を運ぶために、専用レーンが設置されています。スシローでは、顧客がパネルで注文すると驚くほどの速さで寿司が流れてきます。