スーパー業態はどうか。イトーヨーカドー高砂店(東京都葛飾区)を訪れると、通常のスーパーよりも明るく清潔で、スタッフの表情も生き生きしている。ただし、食品売り場にはやはり男性の姿。パート社員だという。
「鮮魚売り場には今も男性の正社員がいますよ。募集したけれど、やりたいと言う女性(の正社員)が集まらなかったみたいです。マネジャーは女性ですが、前職の男性マネジャーがまだいて、マグロの解体法を指導しています」
現在はまだ移行期間中なのだろう。とはいえ、店舗の清掃が行き届いているのは早くも「女性効果」が出たのだろうか。
「クリンネスは以前からみんなでがんばっていますよ。4月からより強く言われるようになりましたけど。キレイになったのは、(商品陳列用の)什器を入れ替えたからでしょう。モデル店になったので予算がついたのだと思います」
この大掛かりな取り組み、そもそも誰がどんな狙いで発案したのだろうか。
セブン&アイの広報シニアオフィサーである松本稔は、経営層によるトップダウン施策で、「環境変化」への対応策の1つだと説明する。
「コンビニ業態のセブン-イレブンですら、女性客が増えてきており、女性のニーズを肌で感じる必要があります。一方で管理職を目指す女性社員はまだ少ないため、意識を変化させるのが狙いです。女性比率を上げるのでは足りません。やるときはドンとやらないといけない」
西武所沢店では催事のスイーツの品揃えが充実し、イトーヨーカドー高砂店ではPOPに商品の説明文を入れたり店頭に花を飾るなど、「女性ならでは」の配慮がなされるようになった。
(文中敬称略)
(鶴田孝介、的野弘路、永井 浩、高橋聖人、澁谷高晴=撮影)