ゼロコロナ政策を撤回し感染が爆発した中国
中国がゼロコロナ対策を撤回してから1カ月が過ぎた。1月21日、中国疾病予防管理センター(CDC)首席専門家の呉尊友氏が「全中国人の80%がすでに感染した」との分析を中国版ツイッター「微博」に投稿し、注目を集めている。
分析が事実とすれば、中国14億人のうち11億人がこの1カ月で感染した計算となる。にわかに信じがたい分析だが、たしかに死者も急増している。中国政府は12月以降の死者数が7万人超に達したとしている。
中国では厳しい行動制限が解かれ、各地ではコロナ前のようなにぎわいを見せている。中国政府は、1月7日から2月15日にかけての旧正月「春節」には、延べ20億人超の移動があるとの予測を発表している。
いま中国で何が起きているのか。そして中国の人々はこの事態をどのように受け止めているのか。筆者は、前回記事に続いて、中国のコロナ事情に詳しい研究者のX氏に聞いた。同氏は中国の有名大学に勤務する日本人理系研究者だ。生活者として、また専門分野に関連する問題として中国のコロナ対策と流行状況について深い知見を持っており、筆者はたびたびレクチャーを受けてきた。
ただ、中国では専門家がコロナについて発言することにはリスクがあり、過去にはゼロコロナ政策を批判した医師が猛烈なバッシングにさらされたこともあった。実名で取材に答えることはリスクがあまりにも高いとのことで、今回の記事でも匿名となることをご了承いただきたい。