情報収集に役立つ、CIA元副部長の「HEAD」思考法

「どんな情報を集めるか」ということをわかっていない諜報員はいない。

なぜなら、諜報員には、分析部署から情報収集の指示があり、その分析部署には、意思決定者から「戦略を立案するために必要な情報が欲しい」という指示が与えられるからだ。

この「情報収集の指示」は「情報要求」と呼ばれるが、情報を収集するための方向性を定める上でとても重要だ。

現代社会は情報が氾濫している。多くのデータを集めれば、必要とされているインテリジェンスを作成できる可能性は高まる。

だが、すべての情報が価値を持っているわけではない。分析を混乱させるゴシップやニセ情報が含まれていることが多い。

だから、分析担当は氾濫するデータの渦から、本当に必要なインテリジェンスを選り分けなければならない。

これは、インテリジェンスの業界用語では「小麦ともみ殻を選り分ける」「ノイズからシグナルを取り出す」と言われる。

データ分析
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元CIAの副部長のフィリップ・マッド氏は著書『CIA極秘分析マニュアル「HEAD」』の中で、「CIAは“紙の時代からデジタルの時代に急速に移行し”、すでに1990年代の湾岸戦争では、著者の周囲には膨大な量の『秘密情報の山』があった」というような内容を語っている。

しかし、マッド氏は膨大な秘密情報から、湾岸戦争での戦略・判断に必要なインテリジェンスをなかなか取り出せなかった。

マッド氏は「情報の泥沼からどのように抜け出せるのか?」「何が重要であり、何を捨てるべきか?」に苦悩した。

この経験から生まれたのが、一般人やビジネスパーソン向けの分析術「HEAD」である。

ちなみに、「HEAD」とは、「High(高い)」「Efficiency(効率)」「Analytic(分析)」「Decision-making(決断をつくる)」の頭文字を合わせた言葉だ。

「HEAD」思考法は、次のような手順を取る。

1 「HEAD」思考法は、「問い」を最初に設定することから開始する
2 次に、「問い」を明らかにするための枠組みを決める
3 そして、「枠組みの中に収まる、問いの解明に必要な情報だけを集める」

つまり、「問い」とは、国家情報機関の「情報要求」に相当するもので、「問い」の設定は、一般人やビジネスパーソンの情報収集の方向性を定めるものだ。