諜報員や探偵など「プロの情報屋」と呼ばれる人たちは、どうやって情報を集めているのか。元防衛省情報分析官の上田篤盛さんは「彼らは『砂時計会話術』をよく使う。ごく普通の世間話で会話を始め、少しずつ特定の話題へと絞り込むことで、相手から重大な情報を引き出している」という――。

※本稿は、上田篤盛『超一流諜報員の頭の回転が速くなるダークスキル 仕事で使える5つの極秘技術』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

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誰が「重要な情報にアクセスできるか」狙いをつける

諜報ちょうほう員は直接ひとりで機密情報を取るよりも協力者を獲得して、彼らを通じて任務を達成することが多い。

協力者を獲得して運用するためには、

・誰を協力者にするか狙いをつける
・協力者にふさわしいか評価する
・ターゲットとの人間関係をつくる
・ターゲット勧誘する

の段階を経る。

そして、「実際に動いてもらう」ことになる。これは、①狙いを定める(Spotting)、②評価する(Assessing)、③人間関係を築く(Developing)、④勧誘する(Recruiting)という4つの段階の頭文字をとり、SADRとも略称されている諜報員のテクニックだ。

まず、最初に行なうべきことは、誰を協力者にするか、すなわち近づくための協力者候補の決定である。

これには、考慮すべき2つの要件がある。

それは、需要性(ニーズ)と可能性である。

ニーズとは、相手が自分の必要とする情報を持っているかということである。

業界用語では機密などを知る適切な立場にあること、あるいは人物を「インプレス(Inpress)」と言う。

つまり、インプレスにいる人物を探して接近する。

自分や組織にとって、「役に立つ重要な情報を持っている」、あるいは「重要な情報にアクセスできるかどうか」、これが第一の基準となる。