トップ層に近づけない場合はどうするか

たとえば、あなたが「ライバル会社が新商品を売り出すか?」、もしくは「どんな新商品を売り出すか?」を知りたければ、ライバル会社のトップ層に接近することがベストである。重要な企業秘密はトップ層だけが持っていることが多いからだ。

しかし、多くの場合、相手側企業のトップにやすやすと近づくことはできない。

このような場合は、どうすればよいのだろう?

そこで第二の基準である「可能性」、つまり「あなたは接近できるか?」ということを考える必要がある。

もし、諜報員であれば、企業トップの周辺で同様な情報を持っている人物への接近をはかるだろう。

一般社員でも新商品の研究開発や宣伝広告に携わっている人がいて、関連情報を知っているかもしれないからだ。その場合は、ターゲットを広く選定して接近し、複数の情報をつき合わせて情報の確度を上げることになる。

相手側から「私はあなたにとって耳よりな良い情報を持っている」などと接近してくることを「ウォーク・イン(walk in)」と言う。

これは金銭目的の場合が多いとされるが、自社の内情を探る二重スパイの可能性もあるので注意しなければならない。

人生やビジネスは正々堂々が原則。相手を出し抜くようなことはすべきではない、法に触れるようなことは絶対にしてはならない、と私は考えている。

当たり障りのない会話から、核心の情報を引き出す方法

しかし、どうしても情報を手に入れなければならないときもあるだろう。

また、日本伝統の“正直さ”は、ビジネスがグローバルに展開される中では、弱点になりやすい。

だから、協力者を獲得する方法を、ビジネスパーソンはセルフディフェンスの観点からも知っておくべきだ。

先にも述べたが、まずは「問い」を設定し、必要な情報を選別する。

ついで、その問いに答えられそうな者は誰かを考える。

この際、問いに直接答えられるハイターゲットよりも、ローターゲットに対し接触するほうが安全であり、現実的だ。

ビジネスパーソンの場合は、ライバル会社の情報であったり、効果のあるアイデア、個人が成長するためのスキルを知ることが目的になることだろう。

展示会、セミナー、業界団体の会合に出席し、当たり障りのない会話をする。

話し合い
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当たり障りのない会話から、核心の情報に少しずつ近づいていくわけだから、核心の情報に関する知識のほかに、社会情勢、趣味、嗜好しこう、スポーツなど多様なジャンルにおよぶ豊富な話題に対応できることが必要である。

しかし、相手が自然に話すよう誘いを仕掛ける必要があるので、自分の知識をわざわざ披露ひろうする必要はない。

だから、広く浅く、いろいろなことを知っておくことも重要である。