主な情報源は「公開情報」と「人的情報」

では、諜報員はどこから情報を集めるのだろう。大きくは、公開か非公開かに分かれる。

公開情報は、新聞、雑誌、テレビ、インターネットから集めることができる。公開情報のことを、オシントと言う。

ノートパソコンと図書
写真=iStock.com/Nutthaseth Vanchaichana
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非公開情報は、文字通り一般には隠された情報だ。国家や企業の秘密から、個人が持っている秘密スキルや情報、居酒屋の秘伝のタレまでさまざまである。

その非公開情報には、「人に接近して取る情報」であるヒューミントと、「技術的手段を駆使して取る情報」であるテキントがある。

テキントには通信傍受や偵察衛星などを使うものがあるが、一般ビジネスパーソンにはあまり関係がないので深く知る必要はない。

これらの情報発信元を情報源と言う。

単独で活動する諜報員は、公開情報(オシント)と人的情報(ヒューミント)が主な情報源である。

公開情報は、全体のインテリジェンスの90%以上を占めるとされている。諜報員は、まず公開情報を集めるということだ。

我が国の諜報員の最高峰と称される明石あかし元二郎もとじろうは、日露戦争時にロシアやスウェーデンで、ロシアに敵対する協力者を獲得して諜報活動を行なった。

そのとき、まずは公開情報によるロシアの事前分析を行なっているが、その綿密さには驚かされる。興味があれば、明石の書いた『落花流水』をおすすめする。

一般ビジネスパーソンも、オシントとヒューミントは活用できる。

現在では、さまざまな情報がインターネット上にあるので、心がけ次第でいくらでもオシントは集められる。

ただし、価値のある情報と価値が無い情報が入り混じっているし、誤情報やニセ情報が流されている。さらには、情報操作も行なわれているので注意が必要だ。