すぐに心が折れてしまう豆腐のようなメンタルはどのように鍛えればよいのか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「大切なことは、時間と心の余裕を常に自分に与えることです」という――。

メンタルヘルスは簡単に保てる

ウィズコロナの生活がもうすぐ3年になろうとしています。

私は産業医として2022年は1282件の産業医面談をしました。2021年は面談の約9割がZoomやTeams、電話等でのリモート面談でしたが、昨年は7~8割と従来のような対面での面談が少しずつ増えてきました。コロナ禍の影響で自分を見つめ直す機会が多かったから、この数年はさほどストレスがないうちから、自らのメンタルヘルスに関心を持ち、どのようなことができるかを聞きにくる社員が増えた印象です。

そこで今回は、すぐに心が折れてしまうという豆腐メンタルの人たちが2023年健やかに過ごせることを願って、メンタルヘルスのために、誰でも簡単にできる3つの習慣についてお話ししたいと思います。

ベッドの上には「就寝時間」の文字が書かれたサインボード
写真=iStock.com/acongar
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寝る前に「たった数分」でできる幸福度を高める方法

まず1つめにお勧めしたいのが、毎日寝る前にその日にあった「3つのいいこと」を書くことです。

いいこととは、うれしかったこと、楽しかったこと、感謝の気持ちになったことなど、ポジティブに自分が感じたことならばなんでもOKです。

これは、アメリカの心理学者でポジティブ心理学を提唱したマーティン・セリグマン教授が提唱した習慣です。寝る前に「3つのいいこと」を1週間継続して書くことにより、その後半年間、幸福度が高まり不眠が改善したという報告に基づきます。

寝る前にたった数分でできる方法ですが、産業医面談でこれをお伝えすると、2通りの返事が来ることが多いです。

「はい、やってみます」。たいてい、このような返事する人は、メンタルヘルス的にいつも健康な人です。「そんなこと言われても、いいことなんてなかった日はどうするの?」「毎日3つもいいことなんてありません」。このような返事をする人こそ、この習慣を身に付けてほしい人です。