自転車ひき逃げの被害者が語る“事故後の苦悩”
「加害者は20歳前後の若者でしたので、事故の瞬間映像があれほど報道されたら、きっと耐えられずに出頭するのではないかと思っていたんです。でも、結局、何の手掛かりもないまま年を越し、3カ月が過ぎてしまいました」
そう語るのは、昨年10月18日、東京・南池袋3丁目の横断歩道で自転車によるひき逃げ事故に遭った被害者のAさんです。
以下の動画は、その瞬間を記録した防犯カメラの映像です。
信号無視の自転車が横断歩道を横断中のAさんに激しく衝突。その後、二人は絡み合うように路上に転倒しました。しかし、男性は即座に立ち上がるとAさんを救護しようともせず、慌てた様子で自転車にまたがり逃走。動画には、「警察を呼ぶから待ちなさい!」と叫ぶAさんの声もしっかり記録されています。
「歩行者用信号が青になったのを確認した私は、横断歩道を渡りはじめました。そして数歩進んだ時、突然、池袋駅から目白方面へ進行してきた自転車に右側からものすごい勢いで衝突されたのです。その直後、相手は『ごめんなさい』と言ったので、自分が信号無視をしたことはわかっていると思うのですが」(Aさん)
Aさんはすぐに救急車で搬送され、全身打撲で全治1カ月と診断されました。幸い骨折などはありませんでしたが、動画を見ると相当の衝撃を受けていることがわかります。もし頭を強打していたら、この程度では済まなかったかもしれません。
本稿の執筆時点でも自転車に乗った男は、逃走を続けています。
進まぬ捜査に焦り、自ら防犯カメラ映像を入手
実はこの動画は、警察が入手したものではありません。事故から約1カ月半後、Aさんが自ら事故現場正面のビルに足を運んで入手したものです。
「ひき逃げという悪質な事件ですし、警察からは(警察が入手した)防犯カメラの映像もあると聞いていましたのですぐに犯人は捕まるものだと思っていました。でも、現場に看板が立てられたくらいで、特に捜査の動きもなく1カ月が過ぎてしまったのです」