子供が伸びる時期は今じゃないこともある

人は新しい物事を耳にしたとき、「なるほどね! そういうことか」と感動と共に知識を習得することもあれば、ただ受け身で聞いているだけのことがある。どちらに転ぶかは、既存の知識や経験の有無にもよるし、成長の度合いにもよるし、その日の気分にもよって変わってくる。つまり、“偶然”に左右されるところが大きいのだ。

また、子供の場合、学びへ向かうスイッチもいつ入るか分からない。受験勉強に熱心な父親ほど、勝ち負けで物事を考えたり、今やっていることの成果をすぐに求めたりするが、子供が今やっていることの結果なんて、すぐに出ないことのほうが多い。出たとしても数年後だったり、まったく別のことで出たりすることだってある。いろいろなことを学び、一つでも興味を持ったらそれで万々歳というくらいの気持ちでいたほうがいい。

ところが、コスパやタイパを求める父親は、「これをやればこうなるはずだ」と結果を急ぐ。「すぐすぐ」「いまいま」と短時間での成果を求める傾向があり、どこかの誰かが「いい」と言ったものに飛びつき、あれこれやらせてしまう……。

アジアの父親は、自宅でEラーニングコースを受講している子供たちを見ています。
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ところが、親から「あれをやれ、これをやれ」と指示され続けると、子供は自分で考えることをやめてしまう。そして、言われた通りにこなす勉強になる。これこそが今の中学受験の問題点だと私は感じている。