「財閥系企業とそれ以外」の格差はかなり大きい

世界的に株価が下落する中、韓国では多くの個人投資家がテスラ株に投資を行っているという。韓国の多くのテスラ株投資家に共通するのは、人生の“起死回生”を狙うことだろう。韓国の若者の中では、「大学を卒業しサムスン電子など財閥系大手企業に就職できれば、良い暮らしができる」と考える人が多いようだ。しかし、実際に財閥系企業に就職できるのはほんの一部で、それ以外の学生は待遇がいいとは言えない企業に就職せざるを得ない。その所得格差はかなり大きいといわれている。

米実業家イーロン・マスク氏(=2020年9月3日、ドイツ・ベルリン近郊グリューンハイデ)
写真=AFP/時事通信フォト
米実業家イーロン・マスク氏(=2020年9月3日、ドイツ・ベルリン近郊グリューンハイデ)

一方、ソウル近郊の住宅価格は高騰し、借り入れに頼って住む場所を確保しなければならなくなる人も多い。苦しい生活環境から抜け出すために、リスクの高い資産に資金を投じる人は増えたと考えられる。それは韓国経済にとって無視できないリスク要因だ。長期的にみれば、家計部門の不良債権は増え、韓国の経済と金融市場にかなりのストレスがかかる懸念がある。

今後、世界経済が減速すると、韓国経済の牽引役である輸出にはより強いブレーキがかかるだろう。中国経済の高成長の終焉しゅうえん、メモリなど半導体市況の軟化、利上げによる米国の個人消費の減少などのマイナス要因がある。その状況下で世界的に株価が下落すれば、韓国家計の債務リスクは一段と高まり、金融システムの不安定化懸念も上昇するだろう。

テスラの株主ランキングでは7位

報道によると、2022年8月時点で韓国の個人投資家はテスラの発行済み株式の約1.6%を保有していた。テスラの株主ランキングにおける順位は7位だった。それに加えて韓国ではデリバティブ(金融派生商品)を組み込みテスラの株価に連動して価格が変動する仕組み債(債券の一種)を購入する個人投資家も増えた。

テスラ以外にも、米半導体企業であるAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)、エヌビディア、さらにはアマゾンなどの株価に連動する仕組み債の人気も高まったと聞く。成長期待の高い米国のグロース株に加えて、ビットコインなどの仮想通貨を短期目線で売買する個人投資家も一時は増えた。サムスン電子など、韓国の大手企業の株を買う人も増えた。共通するのは、リスクの高さだ。