一方、中国経済の景気後退懸念の高まりなどによって、韓国の輸出は減少し始めている。所得の増加はこれまでに増して期待しづらくなるだろう。生活の苦しさが追加的に高まる家計は増えると予想される。先行きの不透明感高まる状況にあっても、2022年12月の月初以降、テスラ株を買い越す韓国の個人投資家は増えたようだ。
中には、投資資金を借り入れ(レバレッジをかけ)て、自己資金以上のお金をリスク資産に投じ、より多くの利得確保を狙った個人投資家もいる。それほど韓国の個人、家計を取り巻く経済環境の厳しさは増しているようだ。
今年は株価の下落リスクが高まる
2023年、米国のFRBは追加の利上げを継続しなければならない。インフレ鎮静化のために欧州中央銀行(ECB)も利上げなど金融引き締めを強化する。それに伴い、世界的に金利は上昇するだろう。米国をはじめ世界的に株価の下落リスクも高まる。
特に、テスラのように過度な成長期待とカネ余りによって実力以上に株価が押し上げられた銘柄への下押し圧力は強まると予想される。世界的な景気後退も現実味を帯びるだろう。その展開が現実のものとなれば、韓国の経済成長は鈍化し、不動産価格やサムスン電子などの株価もさらに調整するだろう。
その場合、韓国の家計の債務返済負担はさらに増加する。返済に行き詰まる個人は急速に増加し、家計部門の不良債権増加の懸念も高まりやすい。今すぐそうした状況が起きるとは考えづらいが、家計の債務問題は韓国経済にとって無視できないリスク要因の一つに位置づけられる。