「僕ら選手はお客さんのいるところでやりたい」
【村井】このほかにも「選手の人生設計を考えて確定拠出型の年金を導入してほしい」とか「審判がすぐに反則の笛を吹くとインテンシティー(プレーの強度)が下がるから、軽いファールは流すようにしてほしい」とか。本当にいろいろな提言をもらいました。チェアマンとしてすべてに応えられたわけではありませんが、Jリーグをより良くするために共に戦ってくれる心強い仲間でした。
コロナ禍の東京五輪を開催すべきか延期すべきか、開催するなら有観客か無観客か。世論が割れましたが、吉田選手は「僕ら選手はお客さんのいるところでやりたい」と堂々と主張しました。何かモノを言えば叩かれかねない空気の中で、選手がどこまで言うかは、非常に難しい局面でしたが、ここでも吉田選手は力強く境界を越えていったのです。弟力とは、大きな壁として立ちはだかる兄のような存在を超えようとする覚悟のことをいうのかもしれません。日本がベスト8を狙いにいったように。