今年、発足から30周年を迎えたJリーグでは、2015年からJ1、J2、J3のすべてで明治安田生命がタイトルパートナーになっている。なぜそれほど深い関係となったのか。チェアマンを4期8年務めた村井満さんに、ジャーナリストの大西康之さんが聞いた――。(第12回)

「ちょっと心が折れそうになっていました」

世界初の「年間1000試合のネット配信」を実現…JリーグがDAZNと「2100億円の巨額契約」を結んだワケ>からつづく

――前回はサッカーの楽しみ方とJリーグの収益構造を大きく変えたDAZNとの契約秘話についてお聞きしました。もう一つJリーグの収益を押し上げたのが、J1、J2、J3すべてのタイトルパートナーになっている明治安田生命保険の存在です。

【村井】私にとって2014年は、まだチェアマンとしてしっかりした方向性が見つけられず、激動が続いて、ちょっと心が折れそうになっていました。そこで8月12日から14日まで初めての休みを取って妻と旅行に出かけるんですが、「サッカーの話題が出てこないところに行こう」と考えました。

――「サッカーが追いかけてこないところ」ですか?

【村井】今思うと、ちょっとメンタルが弱っていたのかもしれません。

そこには「明治安田生命根室営業所」の看板が

【村井】前回、ミャンマーに着いた時、現地でディーン・サドラー氏が待ち伏せしていたことに感激したとお話ししましたが、自分には味方がいないような気持ちになっていました。北海道でも札幌にはコンサドーレがあるからサッカーが思い浮かんでしまいます。それで根室まで行きました。「ここなら追いかけてこないだろう」と。

【連載】「Jの金言」はこちら
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旅館について、妻はマッサージに行き、私は床屋に行きました。その帰路、「明治安田生命根室営業所」という看板を見つけたのです。「Jリーグは地域密着と言っているけれど、Jリーグもない根室にもこの会社は根を張っている。本当に地域密着で頑張っているんだなあ」と、とても感心しました。

明治安田生命は私のチェアマン就任と同じ2014年からJ3のタイトルパートナーになってくれていました。「日本を代表するような大きな会社がなぜJ1、J2ではなくJ3なんだろう」とも思っていました。

休暇を終えてから、当時社長だった根岸秋男さんとお会いする機会を得てから私のチェアマンとしての視座が定まっていくように感じています。