かつてプロ野球では2番バッターに「犠打の名人」を置くことが多かった。ところが現在では2番バッターは強打者の定位置になっている。江戸川大学客員教授の鳥越規央さんは「データ分析によって、犠牲バントに得点確率を高める効果がないことが浸透した結果だろう」という――。

※本稿は、鳥越規央『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)の一部を再編集したものです。

打線に分断ができるのは非合理的

日本プロ野球の2013年の打順別成績を見ると、2番打者のOPS(注 出塁率と長打率を足し合わせた値)は、両リーグとも9人中7位であり、犠打数は9番打者よりも多い。

当時のプロ野球は1番打者が出塁したら2番打者が犠牲バントで送るのが戦術の主流であったことがわかる(図表1・2)。

だがセイバーメトリクスの考え方からすれば、この打順の組み方は非合理的といわざるを得ない。

犠打の有効性がどうこうというより、もっと深刻な要因からである。

2番打者の出塁率が低いために、打線に分断ができてしまっているのだ。