川相は「バントだけ上手い選手」ではなかった
出塁率の高い選手を上位打線に連続で組むことで、得点効率がよくなる。これはシミュレーションで実証されている。
また、単純に、打順が多く回る打者の出塁率が低ければ、チーム全体の出塁率にも悪い影響を及ぼすのだ。
2番打者にバント技術に長けた選手を配置する戦術がある。1990年代に読売ジャイアンツが2番ショートにバントの達人・川相昌弘を起用して好成績を残したことにより、多くの球団で採用されるようになった。
ただ、川相は出塁でもチームに大きく貢献していた。彼は1990年にセ・リーグの年間犠打記録を更新しているが、その年の川相のOPSは.806で、チーム3位だ。
逆に、出塁率を度外視して、バント技術にだけ長けた選手を2番に置いても、さほどの得点増加には結びつかないのである。
「2番の犠牲バント」は減っている
では、2021年の打順別成績を見てみよう(図表3・4)。
セ・リーグでは、2番打者のOPSが9人中の7番目であることは2013年と変わりはないが、犠打の数は半分以下に減っている。
パ・リーグでは2番打者のOPSが9人中4番目であり、犠打の数はセ・リーグよりも大きく減少している。