覚せい剤をやると風俗が苦痛じゃなくなった

21歳。娘のことをお金としか見ていなかった父親と縁を切って、次は渋谷に移った。渋谷では薬物にハマっていく。

「渋谷で一人暮らしを始めて、スカウトに捕まった。ホテヘルを紹介されてそこの寮に入った。

そのときスカウト界隈のヤクザと出会って、クラブを教えてもらってクラブが大好きになった。合法ドラッグから脱法ハーブになって、覚せい剤って順番。最終的には注射器でバンバン打つようになった。薬物やれば頑張れるみたいな。レッドブルと同じ。わかります? これがあれば大丈夫って。たとえば栄養ドリンクとかあるじゃないですか。それを飲んだら元気が出るみたいな」

ホテヘルの待機所には脱法ハーブが置いてあった。脱法ハーブの仕入れ先の人から覚せい剤を薦められて炙りを試してみた。最高だと思ってどんどんとハマっていく。

覚せい剤をやると、風俗の仕事が苦痛じゃなくなった。性的サービスで楽しい気持ちになるのは、初めての感覚だった。

バレて渋谷にいられなくなり、歌舞伎町へ

「なんでも頑張れる。仕事も頑張れるし。たとえば、すごく汚いオジサンがカッコよく見えちゃうみたいな。だから仕事も苦痛じゃなかった。だからずっと働いた。だけど働いた分、覚せい剤を買う、それで仕事を頑張る。負のループになっちゃって何も残ってない。覚せい剤はグラムイチハチ(1グラムで1万8000円)だった。薬物が完全にやめられなくなった」

覚せい剤はやる気が出る、テンションが上がるという効果もある。しかし「勘ぐり」という副作用も起こった。

「警察が来てるんじゃないか? みたいな。でも誰もいない。それでドアののぞき穴を見て、それで住んでいた寮が下まで見える感じ。螺旋階段があって下まで見えるみたいな。そんな感じ。それで覚せい剤やっていることが店にバレてクビになっちゃいました」23歳。薬物中毒がバレて渋谷にいられなくなって、歌舞伎町に向かった。

「歌舞伎町にはあてもなく来た。渋谷もなんとかなったので、歌舞伎町も大丈夫だろうって。最初はホテル暮らしで、出会い喫茶で稼いでいた。売春。2万円とかで一日1人か2人に売っていた。裏カジノで遊んでいるときに、いまの旦那と出会った。うちに来ないか? と言われて同棲を始めた感じ」

夜の歌舞伎町
写真=iStock.com/aluxum
※写真はイメージです