「だから、私が頑張るしかないの」

3年前、26歳のときに子どもが産まれた。

歌舞伎町二丁目の東側にはラブホテルだけではなく、一人暮らしができる賃貸マンションがたくさん建っている。親子3人、歌舞伎町で暮らしている。

中村淳彦『歌舞伎町と貧困女子』(宝島社)
中村淳彦『歌舞伎町と貧困女子』(宝島社)

「歌舞伎町に住んでいて3歳の子どもがいる。私も旦那も覚せい剤をやっていたけど、妊娠をきっかけにやめた。旦那もやめた。出会った頃は旦那に収入はあったけど、子どもが産まれてからは無収入が続いている。やっぱり捕まりたくないってあると思う。だから、私が頑張るしかないの」

話は終わった。時間は24時を回っている。

いまも旦那が家で子どもの面倒を見ているという。最後に旦那の写真を見せてもらった。見るからに武闘派といったヤクザだった。

名越宏美にお礼を言うと、彼女はヤクザ席の真ん中に入っていった。

ホス狂いの取材から始まってヤクザ居酒屋で飲み、街娼と会話をして中国人売春クラブに行って、いまヤクザスナックにいる。長い一日だった。

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