やんちゃな若手の発想が改革を起こすこともある

後にDAZNとの交渉に臨みますが、この件以来、自分で動画の権利を持つことの重要さを学んでいたので、「動画の著作権はJリーグが保有する」との方針を貫きました。Jリーグ自らが全試合の中継制作を行うことを前提にしたのです。

あの一件で気づいたのは、現場の若手のアイデアの面白さ、自分たちで動画を持つことの大切さ、それとネットの破壊力ですね。2015年にはニフティのウェブサービス事業の責任者だった笹田賢吾さんにデジタルエンジニアとして来てもらいました。

それで「デジタル周りのことはJリーグがやりましょうか」と言ったら、クラブ側も「え、やってくれるの?」と。こうしてJリーグのデジタル・プラットフォーム戦略が本格的に動き出したわけです。

――組織を変えるのは「よそもの、若者、バカ者」なんて言葉がありますが、それを地でいった格好ですね。

【村井】まさに。改革の発端は、いつの時代も現場のやんちゃな若手のチャレンジなんですよ。そこから、この前もお話ししたPDMCA(計画、実行、失敗、確認、改善)のサイクルをどんどん回していけばいい。

「Jリーグデジタル化物語」
撮影=奥谷仁
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