子供が生まれたばかりのころは、夫婦二人三脚で子育てを楽しんでいたはずなのに、いつの間にか子育てが喧嘩の原因になることが多くなったという夫婦は少なくない。

とくに、この追い込みの時期。夫婦喧嘩は子供にとってもよくないし、なんとか足並みをそろえたい……という夫婦は必読!

動物行動学的視点から男女の違いを観察すると、「なるほどそうだったのか!」と、夫婦のすれ違いの原因がみるみる明らかに。遺伝子レベルでお互いを理解することで、夫婦円満の糸口がきっとみつかるはずだ。

夫が子供の受験に無責任なのは遺伝子のせい!?

受験期に、妻のいらだつ原因の1つが、「私が一生懸命子供の受験のことを考えているのに、夫はどこか他人事。二人の子供なのに無責任すぎる!」と感じること。一方夫に悪気はなく、「子供の受験なのに、どうして妻がそんなに必死なのか理解できない」というのが本音のようだ。なぜそうした意識の相違が生まれるのか――。

動物行動学的に分析することで、男女の違いを説明できるのではないか、と鳥取環境大学教授の小林朋道先生に伺った。

先生によると、人間の動物としての最大の使命は、「自分の遺伝子を後世に残していくこと」。そのために、遺伝子自身が人間という入れ物と脳という一時的な操作器官をつくって、自分のコピーを少しでも多く残せるようにコントロールしているというのである。

「私たち人間は、無意識のうちに遺伝子に操られて行動している」と考えると、人間の行動が理解しやすいというのだ。

では、子供に対する思い入れが、明らかに女性のほうが強いのはなぜか。

「女性の場合は自分のおなかから生まれた子供は、100パーセント自分の子供という実感があるため、その子を確実に育てていけば、自分の遺伝子を残していくことができます。しかし男性の場合は、女性が浮気してできた子供であるという可能性がゼロではないため、本当に自分の遺伝子が入った子供かどうか確信がありません。生物学的な親性が、父親より母親のほうが強いのはそのためです」(小林先生、以下同)

さらに女性は、自分の遺伝子を伝えられる子供の数が限られていることと、1人の子供にかけるエネルギー量が男性に比べてはるかに多いことも、親性を強くしているという。