親子に厳しい風潮も少子化の原因に

日本で少子化が進み続ける原因には、経済的なことだけでなく、親子に厳しい風潮があることも影響しているのではないでしょうか。実際に私もそうでしたが、小さな子供を育てていると、肩身が狭いと感じる親は多いと思います。

普通に子育てしているのに、公共交通機関でベビーカーが邪魔だと言われたり、少しでも子供が駄々をこねれば周囲に頭を下げたり申し訳なさそうにし続けることを要求されたり、何かを主張すると「妊婦様」「子持ち様」などと揶揄やゆされたり……、こうした残念な例は枚挙にいとまがありません。もちろん子連れだろうと子連れでなかろうとマナーの悪い人はいますし、親子にやさしい人もたくさんいますが、総じて親子に厳しい風潮があるのは間違いないでしょう。

他国に比べるとどうでしょうか。さまざまな記事を読むと、電車で小さな子供に出会うと席を譲るのが普通だという国もあるようです。数字による裏付けはありませんが、日本よりも子供にやさしい国は間違いなくたくさんあるでしょう。何しろ日本では公共交通機関で「子供は無料、または子供料金なのだから立っていろ」と言われることさえあります。そういう問題ではなく、小さな子はフラフラすると危ないし、体力もなくて当然なので席を譲ってもいいのではないでしょうか。お年寄りや妊婦さん、体調の悪い人に譲るのと同じですね。

子供は大人よりもうるさくて当然

また「子供がうるさい」という苦情も定番です。まだしつけも不可能な赤ちゃんが泣くことを責められたり、保育園や児童養護施設の新設がうるさいからと迷惑がられて反対運動が起こったり……。反対に「バスや電車で泣いていた子供に、こんなふうに接してもらって場が和んだ」といったエピソードがSNSに投稿されたり、記事になることがあります。読んでホッとするとともに「わざわざ投稿したり、記事にされたりするようなめずらしいことなのか」と残念な気持ちにもなります。もちろん、子供ならうるさくしていいとは思いませんが、子供は大人よりはにぎやかで当然ではないでしょうか。

幼稚園のプレイルーム
写真=iStock.com/kot63
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じつは、ドイツでも以前は都市部で「子供がうるさい」という苦情や訴訟が相次いでいたそうです。しかし、2011年に子供が出す騒音には賠償請求をすることができない、乳幼児や児童の保育施設、児童遊戯施設などから発生する音を環境騒音とはしないということが法律で決まりました。そして東京都でも、2014年に認定こども園も含めた保育所、幼稚園、児童厚生施設、公園は騒音規制の特例とすると条例を改正しました。しかし、法律ではないので日本全国で、やはり保育園の建設を反対されたり、園庭で遊ぶ時間が制限されたりしています。

本当なら誰にでも子供時代があったのだし、子供は未来の社会を支える存在でもありますから、もう少し寛大になってもいいのではないでしょうか。子供を送り迎えする人が増えると治安はより良くなるでしょうし、若い世帯が近隣に住むのは地域の活性化につながるのではないかと思います。