なぜおむつをしないほうがいいのか
「おむつなし育児」を知っていますか? 「おむつなし育児」というのは、「なるべくおむつの外で自然に排泄させる機会をつくる育児」のことだそうです。
「おむつなし育児研究所」のサイトによると、おむつを外して垂れ流しにするのではなく、おむつを早く外すためのトレーニングでもなく、「布おむつ、パンツ、そして、紙おむつを上手に使いながら、なるべくおむつの外で排泄する機会を増やしてあげる」とのこと。あまり動かない生後2~5カ月が「はじめ時」らしいのですが、生まれた日からでも、いつからでもいいそうです。専用おまるを使わなくても、トイレや洗面器、開いたおむつなどの上で排泄させればいいとしています。
このおむつなし育児を実践する保育所があったり、おむつなし育児についての書籍が何冊も出されていたり、おむつなし育児研究所では「おむつなし育児アドバイザー養成講座」という民間資格が設けられていたり、インターネットで検索すると「子供のために」と一生懸命に取り組んでいる親御さんを見かけることがあります。
私個人はすごく大変そうに思いますが、もちろんご本人が選んでやるぶんには問題ありません。ただ、どうしておむつをしないほうがいいとされているのか小児科医として非常に疑問に思いました。
一度にたくさん排泄できることはない
まず、真っ先に気になったのは、「おむつなし育児」の赤ちゃんのメリットとして「一度にたくさん排泄できるので、便秘や頻尿の改善のきっかけになる」と書かれていたことです。子供の便秘の原因はおむつではありませんし、早めに治療する必要があります。ですから、お子さんが便秘がちな場合は、おむつなしにするのではなく、小児科を受診しましょう。綿棒で肛門をつついて便を出してあげる綿棒浣腸の方法、食事や生活習慣の注意点などを小児科医がお伝えしますし、浣腸や内服薬による治療もできます。
また、おむつを使わないようにすれば、子供が一度にたくさん排泄するようになり、頻尿改善のきっかけになるということもありません。だいたい年齢や月齢が小さい子供の場合、頻回に薄い尿が出るのは普通のこと。ただ、普段に比べてお子さんが頻尿で、しかも排尿時に痛みがあったり、発熱していたりする場合は尿路感染症かもしれません。やはり小児科を受診したほうがいいでしょう。
では、なぜ子供は大人に比べて頻尿なのかについて、尿の出る仕組みから詳しく説明したいと思います。ぜひこの機会に知っておいてくださいね。