ヒット商品とは、アート作品を完成させるようなもの
客が支持するのはおいしくて、さらに手に取りやすくて、しかも話題になった商品だ。そして、コンビニに行けば必ず置いてあるようにするのは物流を整備し、販売網を確立していなくてはならない。話題にするには商品のネーミング、パッケージデザインから始まり、広報宣伝の力だ。いずれも経営が統御して実現していかなくてはならない。
おいしいだけ、思いつきだけではヒット商品にはならない。定番商品として定着させることもできない。
「おいしい」は真善美でいう「美」と同じ情緒的な価値であり、答えがないものだ。そこで勝負するのは簡単ではない。だからこそ経営者は物流、販売などの経営基盤を整備し、おいしさ以外のところでライバルを圧倒しなければならない。
ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長が愛読しているハロルド・ジェニーン『プロフェッショナルマネジャー 58四半期連続増益の男』(プレジデント社)にはこんなことが書いてある。
「経営は科学ではない。アートだ」
おいしい会社が出している「食」の商品をヒットさせるにはアート作品を完成させるような丁寧できめの細かい経営が必要なのである。