「なんでこんな味を出したの」と言われるのもうれしい
ガリガリ君リッチコーンポタージュのようなヒット商品は、経営の方向性と斬新なアイデアから生まれる。
では、斬新なアイデアをどう思いつくかといえば、1000本アイデアのような負荷をかけたトレーニングを一度はやったことのある人でなくてはダメだろう。そして、1000本アイデアを「面白かった」と感じられる神経が必要だ。さらに、自分の経験の世界をどこまで広げられるかという努力も要る。
ヒットした商品をロングセラーで、そして定番商品するにはどうすればいいのか。
岡本さんは「私見ですが」と言いながら次のように説明した。
「経営陣の理解です。そして、その次が食の製品ではあるけれど、コミュニケーションツールになったものじゃないかと思うんですよ。例えば、商品を開発していて一番うれしいのは売れた時もそうですけれど、反響が大きいことです。自分が携わった仕事がどのぐらい世の中に貢献できたか分かれば喜びを感じることができます。もちろん、そのうえで売り上げが上がれば一番いいですけど、『なんでこんな味を出したの』って言われることもうれしいです」
「おいしい」だけの商品はもう売れない
「話題になるとは、世の中に商品が認められてるってことで、何かしら世の中の記憶に残るものを出せたってことだから。
そして、定番商品になるものって、ヒットして、そして話題が続かなくてはならない。おいしいのは当たり前だから、おいしいだけじゃダメ。お客さまが支持して、売れて、話題になったものをお客さまはおいしかったって感じるんじゃないでしょうか。開発した自分たちがいくら『おいしい』って言っても、お客さまに買ってもらえなかったら、おいしかったのかどうか本当のところは分からないでしょう。
お客さまに広く買ってもらうために興味を持ってもらわないといけない。いかにお客さまに届けるかなんです。赤城乳業の商品全部にいえるのですが、普通においしいだけの商品は発売してないです。普通においしくて、さらに何かプラスした商品を考えています」
岡本の話にあった「普通においしいだけの商品ではダメ」は至言だ。食品だけではなく、どんな商品にも通用する。