さらにそういう場に行ったら、必ず最前列に座り、私淑する人と同じ空気を吸うべきだろう。何度も前方の席に座ることができたら、相手もあなたの存在を認識し、ひょっとしたら交流の機会が訪れるかもしれない。そうなればしめたもの、あなたとその人は、そこから本物の師弟関係になれる可能性もあるのだ。
私がこういうアドバイスをすると、「仕事に追われて、時間が取れなくて」とおっしゃる方がときどきいる。忙しいという気持ちはわかるが、この方たちは、本当に1日30分、テレビも観ていないし、ネットサーフィンもしていないのだろうか。多分そんなことはないだろう。
真剣に考えれば、1日30分の時間をつくれない人は滅多に存在しないだろう。それを2コマ設定すれば1時間となる。もちろん、15分を4つといった細切れ時間の合計でもいい。要は、何が何でも時間をつくるという姿勢と意欲の問題である。
「それでも時間がない」と言う人は、元トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長、吉越浩一郎さんの『デッドライン仕事術』をぜひ読んでほしい。どれだけ忙しくても、ひとつひとつの仕事にデッドラインを設け、それを確実にこなしていけば、必ず時間はつくれるのだ。
そうやって捻出した1日1時間の余裕時間こそが、あなたの未来を左右する大事な時間となる。ロールモデルの人が書いた本を読んだり、セミナーに出かけたり、日頃会えない人に会ったりすることに使う。この年代からすでに平日は会社と家の往復だけ、という生活をしている人には、未来がないかもしれない。
※すべて雑誌掲載当時
(荻野進介=構成 交泰=撮影)