ビール・日本酒でも血糖値はそこまで上がらない

お酒好きな人にとっては、お酒と血糖値の関係も気になるところでしょう。血糖値を気にする人は、糖質を含むお酒、つまりはビール、ワイン、日本酒などの醸造酒ではなく、焼酎、ウイスキー、ブランデーなどの糖質を含まない蒸留酒を選ぶという人もいるかもしれません。

浅野拓『健康寿命を延ばす「選択」』(KADOKAWA)
浅野拓『健康寿命を延ばす「選択」』(KADOKAWA)

醸造酒は、本当に血糖値を上げるのでしょうか。結論から言えば、そこまで上がりません。たとえば、ビールは、デンプン質を多く含む麦からできています。そうすると、糖質が多くて、血糖値を上げそうな気がしますよね。

ところが、ビールに含まれるデンプン質はモルト製造の段階で「麦芽糖(マルトース)」に分解され、さらに酵母の段階でアルコールに変換されます。ビールの糖質量というのは、アルコールに変換されなかった麦汁の量で決まるのです。だから、エールビールのようにアルコール度数の高いビールは、逆に糖質量は少なくなります。

というように、ビールの種類によっても異なりますが、総じて、ビールの最終的な糖質量はそんなに多くありません。ごはん1膳(150g)の糖質量が55.7g、食パン1枚が28gなのに比べると、ビール1杯(500mL)の糖質量は15gです。なおかつ、麦芽糖はブドウ糖が2つ結合したものなので、ブドウ糖に分解するまでに少し時間がかかります。

「何を飲むか」よりも「何と飲むか」「何杯飲むか」

実際に、フリースタイルリブレ(注)で“実験”を行ってみたのが、図表3です。まず、初日は17時頃に夕食を終え、その後、血糖値が下がったタイミングでビール350mLを飲みました。少し血糖値が上がっていますが、気にするほどではありません。

(注)グルコース値の測定器

2日目の夜は、中グラスのビールとともに焼き肉をいつもどおり食べました。ただし、ごはん(米)は食べていません。グラフを見ていただくとわかるとおり、ほとんど血糖値は上がっていません。「ビール+焼肉」と聞くと、血糖値を上げそうなイメージがあるかもしれませんが、むしろ、対象実験としてこの日の昼食に食べたうどん(もちろん1人前)のほうがよっぽど食後高血糖を引き起こしています。

別の日には日本酒でも“実験”を行ってみました。そのときには、刺身をつまみに日本酒1合を飲んだのですが、ビールと同様に飲みはじめの血糖と比べて20mg/dL程度しか上がりませんでした。日本酒の原料は米なので、「血糖値の高い人は飲まないほうがいい」といわれますが、決してNGではないと思います。

お酒は何を選ぶかよりも、「何と飲むか」のほうが大事。あとは、量を選ぶことですね。ビールも日本酒も思いのほか血糖値を上げないといっても、量を飲めば上がります。やっぱり「2ドリンクまで」にしましょう。

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