山の中の土地なんて値段がつくようなものではない
そもそもよく聞くと、買ったのは「山」丸ごとではなく、山の中の狭い土地で、周囲は他人の土地だったりします。そのうちに隣接する土地の所有者や現地の住民たちとトラブルを起こすんじゃないかと心配です。「そこはうちの村の里山だ。何を勝手なことしている」などと怒られないといいのですが。
「この土地、300坪で150万円でした。この車より安かったです」なんて自慢している人を見ると、いいカモにされたなあ、と同情してしまいます。ただの山の中の300坪なんて、ほとんど値段がつくようなものではないのです。150万円あるなら、10万円かけた贅沢な国内旅行を15回楽しんだほうがずっといい思い出になります。
ま、最初は楽しめても、虫に刺され、ヘビに驚き、ヒルに血を吸われ、猪や鹿に荒らされているうちに嫌気がさしてきて放置することになるでしょう。
……と嘲笑している私自身、かつては「山を買う」ことを真剣に考えた時期があります。
ゼロから家を建てると数千万円の費用がかかる
越後の280万円の家を買う前、宮城県丸森町にある山一つを見に行ったことがあります。確か価格は1200万円くらいでした。払える金額ではなかったのですが、ローンを組んででも手に入れる価値があるかもしれないと思ったのです。
その山は7町歩(約7万m2、2万1000坪)くらいあったでしょうか。どこからどこまでというのもよく分からないような代物で、本当に「ただの山」でした。広葉樹が茂る自然は魅力でしたが、まず、家を建てられそうな平坦地に入るまでの道がなく、短い距離ですが、自分で道を造らなければなりません。
当然、電気も水道も来ていません。電気は引いてもらえるでしょうが、水は井戸を掘らなければなりません。どちらも百万円単位の費用がかかります。それだけの土台作りをして、さらにゼロから建物を建てるとなると、たちまち数千万円の費用がかかります。当然、そんな金はないので、即、やめました。