「いったいいつになれば日本に行けるの?」

「コロナ禍が明けたら、日本に行きたいのだけれど、いったいいつになったら行けるんですか? シンガポールやマレーシアは開国するのに……」

一足先に開国したタイは空港も賑わい始めた(バンコク・スワンナプーム国際空港にて、橋賀秀紀氏4月4日撮影)
一足先に開国したタイは空港も賑わい始めた(バンコク・スワンナプーム国際空港にて、橋賀秀紀氏4月4日撮影)

3月下旬のこと、スイスからロンドンへ飛ぶフライトを待っていたら、隣に座っていた英国人男性が、筆者が日本人と見るなりそう尋ねてきた。「今年になってから日本へ行けるチャンスを狙っているけれど、許可を取るのは難しそうで……」と言いつつ、「この夏は東南アジアで休暇を過ごすことでそろそろ予定を組もうかと考えているところだよ」とのことだった。

英国人のアジア旅行先はもともと東南アジアが人気で、日本は新参の部類に入る。2019年のラグビーW杯開催の成功に続き、昨年夏にはなんとか東京五輪を開催し、行ってみたい旅行先として人々が関心を持ち始めた。

味噌入りケーキ、カツカレー…日本食がブームに

欧州の人々の間では、「コロナ明けの長期休暇は日本で」という声が意外と高まっている。例えば英国では、コロナ禍をきっかけに、日本食をベースとした料理が急激にポピュラーになった。人気の料理研究家が「味噌」を使った料理レシピを考案し、ついには紅茶のお供に食べるケーキにまで味噌を入れる怪しいお菓子が登場したこともある。

コロナの巣ごもり需要で、家庭で料理をする機会が増えた英国人たちの間では、新たに「カツカレーライス」が大衆的なメニューとしてすっかり浸透。じゃがいもや玉ねぎを切って、カレールーと混ぜて、チキンにパン粉をつけて揚げる(豚肉ではない)という料理が普及した。

しかし、日本食らしきものを口にし始めた人々の間では「どうもこれらの料理は本物ぽくない、怪しい」という疑問は当然湧き、ならば一度はおいしい日本料理を食べに行こう、というモチベーションが高まってきたのも無理はない。

しかし、くだんの男性のように「日本に行きたい心を抑えて東南アジアへそれっぽいものを食べに行く」という人々もまた多そうだ。

東南アジアは観光復活に向け次々と「開国」

シンガポールを筆頭とするASEANの国々は4月1日前後に相次いで入国規制を全面解除した。ワクチン接種者に限るが、出発前にPCR検査を済ませ、陰性証明を取得してさえいれば、ほぼコロナ禍前と変わらない形でバカンスを楽しめるわけだ。

筆者が確かめたところでは、すでにベトナム、マレーシア、インドネシア、カンボジアが到着時の隔離措置なしで入国できるほか、タイも到着後1泊2日のホテル待機を済ませればあとは自由に行動できるようになっている。