「桜の季節には入国できる?」と問い合わせが来たが…

実際に、プーケットのサンドボックス実施は順調に推移し、1月以降は1カ月あたり9万人弱の外国人観光客を受け入れた。4月上旬時点では、タイ全土に行くには24時間のホテル隔離が必要なものの、1日の入国者が1万5000人の水準まで戻ってきている。

こうしたアジア諸国の積極的な動きがあるなか、日本Loverの外国人たちは訪日への見通しをどう立てるだろうか。

「タイやシンガポールも開くんだから、日本も桜の季節には開くんでしょう、という問い合わせも多かった。しかし、皆さん見ての通り、日本政府は今もって、どういうタイムラインで外国人観光客の受け入れを行うのか、具体的なプランを示してくれない。これじゃあ、外国人が日本行きのプランなど組んでくれるわけがない」(国内のインバウンド向け旅行会社社長)と嘆く。

「日本にお金を落としたい」需要を相当取りこぼしている

日本の各種報道で取り沙汰されているように、日本の「悪い円安」はもはや金融制裁を食らっているロシアの通貨ルーブルよりも弱いとの説もあり、「世界の主要通貨」に対してひとり負けという立ち位置にある。これだけ円安が進むと、英国人男性のみならず、誰もが「日本へ買い物に行きたい」と思うのは当然だ。

深刻なのは、欧州以上にマニアックな日本好きが多いアジア圏からの需要を失うことで、大都市はおろか地方の観光地が潰えそうになっていることだ。インバウンド旅客のパイが大きい中韓だけでなく、ASEAN諸国からの需要も相当量取りこぼしている。インバウンド政策に携わる官僚や政治家は「中国や台湾、韓国が今もなおコロナで鎖国中だから、日本を開国しても大した稼ぎにはならない」と勝手に決めつけてはいないだろうか。

4月初旬までに国境を開けた東南アジアの国々は、日本への旅行需要が中国などと比べたら相対的に小さかったところが多い。コロナ禍を経て、日本にとっての新たなインバウンド市場に訴えかけるにはちょうど良いチャンスなのに、そうした機会を自分たちでみすみす逃してはいないか。