一般企業勤務の女性との真剣交際がはじまったが…
初婚でイケメンの国家公務員を、婚活女性たちが見逃すわけがない。女性のほうが、したたかに条件面を考える。プロフィール画面の行間まで、しっかり読み込む。それに対して男性は一般に、女性の顔しか見てない。写真しか見てないのだ。
初婚なのに、ごくまれに子どもがいる女性の登録もあるから、しっかり見てほしいのだが。だが、この国家公務員の男性は、さすが婚活マスター。お相手女性のプロフィールをくまなくチェックする。
「できたらひとりっ子のお嬢さんは、避けたい」
とも言っていた。現代はひとりっ子家庭が非常に多い。ひとりっ子を除いて相手を探すとなると、選択の幅を狭めることとなる。ひとりっ子は親に大事にされて育っているから、親を大事にする。しかも、財産分与でもめる可能性はゼロだ。ひとりっ子を避けたいという会員に、こう説明すると、なるほどそうですよね、と納得いただけることも多い。
彼からのお見合いの申し込みを受けていただける確率は、非常に高かったし、先方から山のように来た申し込みから吟味して、10人ほどの女性とお見合いをした。
半分ほどは、かのボソボソとした話し方のせいかお断りされたが、半分の5人の女性と仮交際になった。初デートで3人の女性からお断りされ、残るはふたり。監査法人に勤める公認会計士と、一般企業のOLだ。このうち、一般企業勤務の美人と、真剣交際に突入。
彼女は、彼の希望では避けたいと言っていた、ひとりっ子で、両親に加え祖母も同居している。非常に堅実で、何事にも行き届いた申し分のない女性。彼は勉強もよくできたし、過去に学んだことはきっちりとできるが、未経験ゾーンについては、からっきしダメ。どのタイミングで彼女にプロポーズすべきか、どんな言葉で告白するか。用意周到に私とミーティングを重ねた。
「クリスマスだから、なんでも好きなもの買っていいよ」
汐留シティセンターにある、東京タワーの夜景が見えるレストランで、ブルガリのエンゲージリングを用意し、プロポーズ。彼女の返事は、もちろん「YES」。ふたりは、めでたく成婚退会した。
入籍の時期も、結婚披露宴についても、プランは考えてある。何しろ、計画性の高い、用意周到な国家公務員だ。勉強ができるオトコは、学んだことには強い。ふたりで迎える初めてのクリスマス、彼らは、新宿のおしゃれな焼肉屋さんで、昼からイブを楽しんだ。
結婚が決まり、リラックスしたせいもあるかもしれない。飲み放題つきのランチコースにしたため、昼過ぎには、彼はかなりの酩酊状態。その足で、彼が彼女を連れて行ったのは、新宿伊勢丹。ハイブランドがずらりと並ぶデパートで、彼は彼女にこう言った。
「クリスマスだから、なんでも好きなもの買っていいよ」