高価なブランドものよりも、堅実な男性との生活を求めていた

だが、地に足が着いた聡明な彼女が、彼に望んでいたのは、高価なブランドものを買ってもらうことではない。堅実な男性と健全な家庭を築き、可愛い子どもを育て、計画的にお金を貯め、お金の心配のない老後を過ごすことが、彼女の希望なのだ。飲み放題とはいえ、昼間っからお酒をしこたま飲んで、お金に糸目をつけずに、女性にプレゼントするような男性を、素敵だと思えなかったのだ。

ふたりのクリスマスも、結婚の約束も、この新宿伊勢丹を境に「THE END」。ブルガリのエンゲージリングは、彼のもとに宅配で送り返され、以来ふたりは一度も会っていない。彼にクリスマスとプロポーズについてのマニュアルを作って渡していなかったことを、カウンセラーとして反省中である。

結婚指輪を持つ新郎
写真=iStock.com/Dobrila Vignjevic
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「会いたい男性はひとりもいない」と語る年収900万円の50代女性

彼女は50歳。大学を卒業以来勤める大手企業の管理職として、何十人もの部下を従えている。年収は900万円。20代に離婚経験があるが、子どもはおらず、見た目はマイナス10歳くらいの印象だ。先日、成婚退会した女性会員からの紹介で入会した。紹介してくれた会員が、とても素敵な男性と結婚したので、入会すれば素敵な出会いがあるのだろうと、期待に大きく胸を膨らませていたらしい。

「男性の収入にはこだわりません」と言っていたし、女優の檀れいのように美しいから、彼女さえその気になれば、人生の伴侶はすぐにも見つかるであろう。早速婚活をスタートした。入会後、プロフィールが掲載されてから会員がする最初の活動は、自分の希望に合う異性を検索すること。

サイトには、写真や年齢はもちろん、男性の場合は年収、学歴、婚歴、現住所と出身地、職業、趣味、家族構成などに加えて、自己紹介文や、カウンセラーからの推薦文が掲載されている。

「ひとりもいません」

彼女は、婚活サイトにいる、自分の年齢前後の男性はくまなく見たが、会いたいと思える男性は、ひとりもいないのだという。

「この場合、どうしたらよいですか?」

第一線で働く彼女は、自分にも他人にも厳しい。配偶者ともなれば、彼女のお眼鏡にかなう男性は、相当にハードルが高いのであろう。それならば、「年齢に関係なく会いたいと思う男性にお申込みしてみては」と言うと、彼女が選んだ男性は全員10歳以上年下のイケメン。10人ほどに申し込みを入れてみたが、さすがに年下すぎて成立せず……。婚活は、とにもかくにもお見合いをしなければ始まらない。プロフィールだけではわからない良さが、会ってこそわかることもある。