紋別の海水温では5月でも低体温になる危険性がある
さて、元気になったアザラシたちはよく眠り、よく食べ、どんどん大きくなる。ある程度大きくなったら、個室のプールに水を入れて水中飼育を開始する。
もちろん個体差はあるが、ゴマフアザラシでは体重11kgを水入れの目安としている。紋別の海水温は4月では5℃以下、5月でも10℃前後と、春になってもまだまだ冷たい。十分に回復していないアザラシを冷たい水の中に入れてしまうと、あっという間に体温を奪われ、低体温になってしまうことがあるので、水入れは慎重に行わなければならない。
その日の気温や個体の状態にもよるが、海水温が10℃以下の時は、お湯を加えた海水を使用することも検討する。
海水におびえてブルブル震え出す子もいる
大きなケガの治療などがなければ、保護から2週間から1か月程度で水中飼育に切り替えられることが多い。水へ入れた時の反応は、アザラシによってさまざまである。久しぶりの海水に、楽しそうにはしゃぎ回る子は、水入れ大成功である。
反対に、ブルブル震えたり、海水に怯えてなんとかプールから上がろうと必死にもがき続けたりする子は、まだ水中飼育に耐えられるほど回復していない可能性が高い。
丘場に上がって頭を下げ震えているような子には、注意しなければならない。低体温の兆候だ。すぐにプールの水を抜き、ドライヤーや電気マットなどを使って体を温める必要がある。