5%社員は「当たり前」を疑う

一方、5%社員は、「当たり前」を疑うことを原則とし、バイアスの影響で間違った判断をしないようにしています

自分で当然だと思っていた勉強法や、社内で当たり前のように行っていた議事録作成といったタスクに対しても疑問を抱きます。

さらに、「社内の常識は世間の非常識」という考えで、社内業務の改善プロジェクトに関わる5%社員がたいへん多く存在していたことは特筆に値します。

バイアスの影響を回避する「5%社員の習慣」

5%社員がみずから実践する「バイアスの影響を抑えるための習慣」には、次の3つの特徴があります。

①社外の接点を増やそうとする

たとえばメンター(相談相手)を社外に持つ比率は、95%社員の6倍以上。また、NPO(非営利団体)の慈善活動や読書会への定期参加、ランニングクラブへの加入など、社外のコミュニティに参加する比率は、95%社員の4倍以上です。

②内省タイムを活用する

先ほど紹介したように、5%社員には週に1回、15分の内省を行う習慣があります。

内省では、1週間に費やしたタスク時間とそれによって生じた成果を振り返ります。これにより、成果につながらない非生産的な作業を見つけ出すだけでなく、なぜその作業をする判断に至ったのかを考えます。

判断理由を追跡することにより、作業前に抱いていた「勝手な思い込み=バイアス」を抽出していたのです。

③批判的思考(クリティカルシンキング)を実行する

「クリティカルシンキング」は、経験や直感に頼らず、客観的なデータや第三者の視点を取り入れることで、“思い込み”を排除する思考法です。誰かに何かを伝えるとき、客観的な視点で考え抜いたインサイト(洞察)を説明に加えることで、相手の納得感が増し、巻き込みやすくなる効果もあります。

ある5%社員は、「自分の考えを疑う姿勢(クリティカルマインド)を持つことで、正しい問いを立てられる」と発言していました。「この説明で相手を説得することができるのか?」「この資料は自分の思い込みでつくっていないだろうか?」といった問いを立て、その答えを用意するようにしているそうです。

5%社員が会議や説明会での質問応答がうまいのは、普段から、こうしたクリティカルシンキングを元に想定問答しているからです。