各企業の人事評価で高い評価を受ける「トップ5%社員」には共通する行動習慣があるという。AIを駆使した調査・分析を主導したクロスリバー代表の越川慎司さんは「彼らは常に『何をするか』ではなく『何をやめるか』を決めています。すべては、成果を出すべく、ゴールに向かうことに集中するためです」という──。(第4回/全4回)

※本稿は、越川慎司『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

「続けること」と「あきらめること」

「エジソンは1万回の実験をあきらめずに行って電球を発明した」という史実は良く知られています。しかし、残念なことに世間一般には「間違った解釈」がされています。この史実でもっとも重要な点は、「同じ実験を1万回繰り返した」ではなく、「違う実験を1万回行った」ところです。

つまり、エジソンは「9999種の実験をあきらめた」のです。9999の方法を捨てたからこそ、その都度、次の実験(やり方)に移ることができたともいえます。

もし、エジソンが1つの実験手法にこだわり続けていたら、電球は永遠に発明されなかったでしょう。

各企業の人事評価トップ5%社員も同じように、「続けることの大切さ」と「あきらめることの大切さ」の両方を理解しています。新しい挑戦をするときは、何かをやめてからスタートしています。

ある5%社員は、「過去のやり方に固執してしまうと初動が遅れてしまう」とも発言していました。

ゴミを屑籠に投げる
写真=iStock.com/BraunS
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やめられない「ムダ習慣」

こう書くと、「やめること」を決めるのは簡単そうに感じるかもしれませんが、実行するのは簡単ではありません。

たとえば、ビジネスシーンにおいて、凝ったパワポ資料をつくったり、「メール見ました」と返信したりするなどの“習慣”があります。やめても業務にはなんら影響はありませんが、なくならないムダ習慣です。

では、5%社員がどうやって「やめること」を決めているのか。個別ヒアリングから、私たちは次の4つの手法を見出しました。