喫茶店で話が2時間もたない相手とはつき合うな

上の見出しは、私が以前、漫画家の倉田真由美さんとの共著で出した本『喫茶店で2時間もたない男とはつきあうな!』をもじったものです。この本のテーマは恋愛で、気になる彼と相性が良いかどうかを見抜くメソッドを提示していますが、“友だち探し”にも同じことが言えます。

ちょっと考えてみてください。あなたは相性の合わない人と、喫茶店で2時間おしゃべりを楽しむことができますか?

もってせいぜい30分、といったところでしょうか。女性ならもう少し、1時間くらいはいけるかもしれません。おしゃべりが相当上手な女性は、どんな相手とでも軽く2時間クリアできる可能性はありますが、その場合は「ひとりが一方的にしゃべりまくり、相手は聞く一方になる」ことがほとんどでしょう。

齋藤孝『孤独を生きる』(PHP新書)
齋藤孝『孤独を生きる』(PHP新書)

また「喫茶店」という空間は、相性を見極めるうえで大事なポイント。カラオケボックスだとおしゃべりは不要だし、居酒屋ではお酒が入って頭がボヤけるおかげで、意味のない会話を延々続けることが可能なので、見極めにくいのです。

いずれにせよ「ちゃんと会話として成立しているおしゃべり」を2時間続けるのは、よほど気の合う相手でなければ難しいと思います。だから「喫茶店で話が2時間もたない相手とはつき合うな」という判断基準は、けっこういけるのではないかと自負しています。

そういう相性の良い人をできれば2、3人、ムリならひとりでいいから持っておくと、たとえ会う頻度が少なくても、孤独感に苛まれなくてすみます。

会う頻度よりも「緩やかにつながっている」ことが大事

卒業生を見ていても、1カ月か2カ月に一度会うくらいのほうが、いつもいっしょにいるより安定していて長続きするな、という印象です。会わなかった間にあったことを、お互いがワーッとしゃべって、「ああ、楽しかった。またね」と、良い余韻を残しつつ別れる、そういうつき合いが心地よいのでしょう。

たぶんあんまり親密につき合っていると、頻繁に会うこと自体が面倒くさくなったり、距離感が縮まる分、発言に遠慮がなくなって嫌悪感が生じてしまったりするのでしょう。この辺りは「淡交」のところでお話しした通りです。

翻ってわが身を思っても、大学を卒業してもう四十年近く経つのに、未だに当時の友だちと“たまに会う関係”が続いています。コロナ禍にあっても、オンラインでおしゃべりを楽しみました。

友人関係というのは、会う頻度よりも「緩やかにつながっている」ことが大事だと思いますね。

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