努力や行動に注目する8つの声かけ

自己効力感は、毎日の何気ない声かけで一瞬にして高まるもの。自分の日頃の言葉を振り返りながら、次の8つの「プロセスフォーカス」を実行していきましょう。

①能力より行動にフォーカス 努力したこと、頑張ったことについて伝える

「賢いね」「天才だね」と、相手の能力評価と捉えられる言葉の代わりに、

「諦めずに、よく頑張ってきたね」
「君がずっと頑張ってきた姿、見てきたよ」

と、その能力が実るまでの行動を認めます。結果より行動することが大切だと思うと、評価されることを恐れずに、心理的安全性を感じ、新しいこと、難しいことに挑戦できます。

ニューヨークの小学5年生500名の研究でも、このひと言で、より難しいパズルを選び、成績がよくなったことがわかっています。

②結果より過程にフォーカス 集中したこと、かけた時間などについて伝える

「100点取れたね。すごいね」「君が出したあのレポート、すごく出来がよかったよ」と“結果”を褒める代わりに、

「ものすごく集中して、頑張っていたね」「長い時間をかけて、やってきたものね」と、それを達成するまでの過程を伝える。

結果より過程が大切だと思うと、「失敗を批判されないんだな」と思えて、安心して挑戦できます。

子供のダンサーはダンススタジオでレッスンを受ける
写真=iStock.com/mokuden-photos
※写真はイメージです

「一度決めたことを変えるのって、勇気がいるよね」

③正しさより勇気にフォーカス やってみたこと、挑戦したことについて伝える

たとえば、私の息子が野球でホームランを打ったときのこと。私はそれまで、怖くてバットを振りきれなかった息子の姿を見ていたので、

「バットを思いっきり振れたんだね」

と、その勇気を伝えたことがあります。また、以前息子は、友だちと遊園地で、とても怖いアトラクションの入場の列に並んでいたとき、

「僕、やっぱりやめておく」と乗るのをやめたことがあります。そのときも、私は、「一度決めたことを変えるのって、勇気がいるよね」

「怖いことを怖いと言うのって、勇気がいるよね」

と彼の勇気を伝えました。心理的安全性にとって勇気はポイント。

この声かけで、将来、ピアプレッシャー(同調圧力)に強くなるのではないかと思っています。

④判断するより描写する「~だね」「~が好きだな」+感謝で声かけ

たとえば、メンバーや子どもが描いた絵を見て、「絵が上手に描けたね」「絵を描くのが得意だね」と、その絵に対する自分の判断、評価を言う代わりに、

「この絵のピンク、キレイだね。好きだな」
「絵に出てくる子の表情がとてもいいね。好きだなあ」

というような表現をして、よいところの感想を述べます。

職場の部下に対しても、「仕事がうまくいったね。よくできたね」ではなく、

「仕事のこの点がすごくよかったと思うよ。ありがとう」

と、中身についての感想を述べたあと、感謝をプラスして伝えます。