周囲の自己効力感を高めるためにはどんな声かけをすればいいか。心理学者の松村亜里さんは「声かけでは結果よりもプロセスにフォーカスしたほうがいい。このため、たとえば『優秀だね』とは言わないほうがいい」という――。

※本稿は、松村亜里『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

幸せな上司ハンド シェークの巧妙な従業員の仕事の昇進のお祝い
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「さすが、賢い! 仕事ができるね」はなぜダメか

ここでは、メンバーの自己効力感を高め、チームの心理的安全性をより確実なものにするために役立つ声かけレッスンを紹介していきましょう。

そこで最初に押さえておきたいのは、「プロセスフォーカス」。

これは、相手が行動したときに、能力や結果ではなく、そのプロセス=努力や行動に注目していく声かけです。

日頃私たちは、相手が何かよい結果を出したとき、それを褒めようと思って、

「さすが、賢い! 仕事ができるね」
「優秀だね~、頭がいいね~」

といった言葉を使ってしまいますよね。

でもこれは、相手の自己効力感を高めるのには要注意。それは、人は能力を褒められると、自分自身を評価されたと感じ、

「いつも優秀でなければいけない」
「いい仕事をしなければならない」
「失敗したら、私は価値がない」

と思ってしまうことが多いから。その結果、プレッシャーや不安に苦しめられることもあるのです。

また、「私は頭がいいからできた」と思っている人が、できないことに遭遇すると、

「私って、なんて頭が悪いんだろう」

と、極端な思いに走ったり、自分ができそうにないことは、避けるようになることがあります。