「現金」の価値を再確認する

世界がグローバルにつながったことで、さまざまな危機が頻繁に起きるようになってきています。

2020年には、新型コロナウイルスが世界中に伝播し、それが収まらないうちに、資源高、エネルギー価格の高騰、穀物高などで、インフレに火がつきました。

こうした予測不可能な状況下で、株価も為替も債券も、乱高下しています。

ただ、こうした中でも価値を保っているのが現金です。

日本は1991年のバブル崩壊からずっとデフレという状況が続いてきました。そして、デフレの中で価値が相対的に上がっているのが「現金」なのです。

1万円札
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なけなしの貯金を使った投資は無謀

もし、あなたが余分のお金をたくさん持っているなら、私は投資を勧めます。

今のような先がわからない時こそ、大失敗することもありますが、大儲けできるチャンスもあるからです。

ただこれは、投資でお金を失っても、失敗に耐えることができる人の話です。

投資に必要なのは、“潤沢な資金”と“時間”と“情報”。

たとえば、100万円で株を買って、値上がりすれば誰もが儲かりますが、値下がりして、仮に50万円になった時に、なけなしのお金で買った人はそれが100万円に戻るまで待ち続けないと損をしてしまいます。

けれど、50万円になった時にさらに100万円ぶん買える人は、株価が70万円に戻れば儲けが出ます。

つまり、“潤沢な資金”がある人なら、儲かる確率も高いのです。

だから、給料が増えないなか、将来が不安で爪に火を点すように貯金を増やしているという人は、投資などしてはいけません。

儲かればいいけれど、それでなけなしの貯金を失ってしまったら、デフレの中ではなかなかそれを取り戻すことができないからです。