3つの法則はそろってはじめて効果を発揮する

さて、ここまで【目標】【分解】【計測】3つの法則を見てきた。改めて強調しておきたいのは、この3つの法則はそろってはじめて、仕事のスピードが加速するということだ。順番としては、目標を立て、分解し、計測するということだ。そして、1つずつ改善する。この順番だ。

北野唯我『仕事の教科書』(日本図書センター)
北野唯我『仕事の教科書』(日本図書センター)

より具体的なイメージがあったほうがいいと思うので、参考までに、私自身の例を紹介しておこう。

私は普段、会社の取締役をしながら、作家として本をつくり続けている。それと同時に、メディアに出ることもある。したがって、「どうやって時間をやりくりしているのか?」と、よく聞かれる。

結論を言うと、【目標】と【分解】と【計測】、これらの3法則をセットにして使っているのだ。

たとえば、ある週末に、原稿を書かないといけない日があったとしよう。原稿の量は2000文字。まず、目標を立てる。仮に、「60分で2000文字を完成させる」を目標にしたとしよう。これは私の場合、集中すれば十分に可能な速度だ。

目標を立てたら、つぎにフローを分解し、各プロセスにかかる時間を計測する。具体的には、私のTo Do(=やるべきこと)管理表は、以下のように細分化して管理している。

○週末に原稿を書かないといけないときのTo Do管理表
・すぐに出かけられるように、原稿執筆用のパソコンをカバンに入れておく(1分)→前日の夜、寝る前にやる
・Wi-Fiの充電をしておく(1分)→前日の夜、寝る前にやる
・カフェに行く(5分)→つべこべ言わず、とにかく行く
・編集者から届いたお題を見直して、原稿を書くためのWordにコピー&ペーストする(3分)
・前回書いた原稿を見直し、ちょっとだけ修正する(5分)→あんまり頭を使わずに手を動かして、執筆作業を波にのせる
・原稿をとにかく書く(40~50分)→目の前に人がいることをイメージして、一気に書き切る
・見直し(5分)
・データが消えたとき用に、バックアップを保存(1分)
・編集者に送信する(3分)

3法則に頭のよさは関係ない

このような流れだ。このとき重要なのは、やるべきことを自分自身で理解し、そして、前日までにできることは処理しておくことだ。

反対に、絶対ダメなのは、当日になってから「なにをすべきか?」を考えてしまうことや、雑に分解した状態で当日を迎えてしまうことだ。それでは、仕事のスピードは永久に速くならない。

3法則はあらゆる場面で役に立つ。そして、どんな人にでも使える、という点で希望がある。頭のよさは関係ない。生まれも関係ない。性別も関係ない。選ばれた人だけが使える技術では、けっしてないのだ。ぜひあなたも使いこなしてほしい。

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