わかりやすい文章を書くにはどうすればいいのか。ワンキャリア取締役の北野唯我さんは「文章とは、動詞を核にして周辺が成り立っているもの。そう考えれば『○○について』という書き方が、ダメな文章の典型例だとわかる」という――。(第2回)

※本稿は、北野唯我『仕事の教科書』(日本図書センター)の一部を再編集したものです。

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文章のわかりやすさが仕事の速さに直結する

「あなたの文章はわかりづらい」と言われないために、まず必要なのは、「わかりやすさ」をつくる技術だ。というのも、職場で一生懸命がんばっているが、仕事が遅いと言われる人のほとんどの場合は、「わかりづらさ」が原因だからだ。

では、どうすれば、「わかりやすく」できるのか? わかりやすさをつくる技術を、爆速で獲得できるか?

覚えておきたい3つの法則がある。この3つの法則を使いこなすだけで、わかりづらさが一気に解消される。すでに十分わかりやすい文章が書ける人は、もっとわかりやすくなるはずだ。

1つめは、【目的ファーストの法則】だ。文章の冒頭で、①目的、②所要時間の2つを伝えることだ。この法則はとてもシンプルだが、これだけでかなりの問題が解決できる。

まず、①目的について、具体的には、

(A)相談(=整理してほしいこと)
(B)共有(=知っておいてほしいこと)
(C)意思決定(=なにかを決めてもらうこと)

のどれなのかを、まず伝えてから、文章をスタートすることだ。行き着くところ、すべてのビジネス文章の目的は、(A)相談か、(B)共有か、(C)意思決定のどれかだ。

文章の目的が相談か共有か意思決定かを冒頭に明確にする

たとえば、なにか悩んでいることがあって壁打ち相手になってほしいなら(A)相談だし、参考になるかもしれないネタを知ってもらいたいときは(B)共有だ。営業数字の報告も(B)共有に当てはまる。あるいは、予算を決めてもらう必要や、なにかサポートをもらう必要があるときなど、上司や経営者に求めるのは(C)意思決定になる。

したがって、まず、私たちが意識すべきことは、文章の冒頭に、これら3つ(相談・共有・意思決定)のどれが目的なのかを伝えられるようになることだ。

より具体的には、文章の冒頭に、

(A)「相談があります」
(B)「これは情報共有です」
(C)「意思決定がほしいです」

と、添えて書きはじめればいいだけだ。これだけで、受け手からすると、「なるほど、これから相談されるんだな」といった予測ができ、ストレスがぐっと減る。

ちなみに、小学校などで習った起承転結は、残念ながら、ビジネスの世界では絶対に使ってはいけない文章術である。なぜなら、ビジネスの世界では、「タイミング」や「スピード」が命で、最後まで文章を読まないと結論がわからない起承転結は、これらを致命的に阻害するからだ。