ビジネスで本当に必要なスキルとはどんなものか。ワンキャリア取締役の北野唯我さんは「特別なスキルは必要なく、小学生レベルの四則演算ができればいい。なぜなら、『複雑そうに見える問題を、いかにシンプルな問題に置き換えて、だれでも解ける状態にできるのか』にこそ価値があるからだ」という――。(第3回)
※本稿は、北野唯我『仕事の教科書』(日本図書センター)の一部を再編集したものです。
相手から百発百中で「Yes」を引き出す「問いの立て方」
相手から「Yes」を引き出す提案をするために、まずやるべきことはなんだろう? それは、「問いの立て方」を身につけることだ。なぜなら、提案とは問うことだからだ。
結論から言うと、3つのフローが必要になる。百発百中で通るような価値ある提案をするには、以下のフローで考えるのがベストだ。これは、「どうやって問う力を鍛えていけばいいのか?」の答えでもある。
問いの立て方3つのフロー
①ペインを探す
②最大の問いを設定する
③問いを分解する
①ペインを探す
②最大の問いを設定する
③問いを分解する
まず、①の「ペインを探す」ということだ。なにかの提案をするとき、「提案のテーマやコンセプトはどう設定すべきなのか?」「その着想はどこから得るのか?」「その根本的な発想のスタート地点は、どこに置くべきか?」といった、そもそもの疑問を解消する必要がある。結論から言うと、その答えは、「ペイン」にある。ペインとは、悩み・痛み・不満・不安・非効率などの苦痛の総称である。
目標と現状のギャップであるペインを探る
すべてのペインは、「目標と現状のギャップ(=差)」から生まれている。「幸せになりたいのに、不幸せである(=悩み)」「仕事で評価されたいのに、評価されない(=不満)」「受験で合格したいのに、合格できそうにない(=不安)」といったギャップだ。このギャップから生まれる、悩み・不満・不安などの苦痛こそが、「ペイン」なのである。
そして、そのペインが、問いのスタート地点になっていることが多い。たとえば、健康食品なら「体調不良」がペインであるし、インスタント食品なら「空腹」。旅行なら「日常からの脱却」などである。これらはすべて「ペイン」と呼ばれる。つまり、解くべき問いの設定は、ペインから発想するべきなのだ。