自分の役割を、「5万人の差分を埋めること」だと理解したあなたは、広告予算を確認した。結果、ウェブ広告の予算が1000万円使えるとわかった。1000万円を使って、5万人の有料会員を獲得するわけだ。しかし、ここで問題が発覚する。これまでの過去実績を考慮すると、1000万円で獲得できる会員は、3万人程度になりそうなのだ。困った。どうすべきなのだろうか?

このとき、あなたが解くべき問いは、「1000万円を使っても、3万人しか獲得できない。でも目標は5万人だ。だとしたら、どうやって差分の2万人を埋めるべきなのか?」と、より具体的になる。

小さな問いは最大の問いを補足する

さて、いま、まさにあなたが体感したプロセスが、「問いを分解する」という作業である。言い換えれば、「セントラルクエスチョン(=CQ)を、サブクエスチョン(=SQ)に分解している」ということなのだ。より具体的にメモに落とすと、こう書ける。

○問いの分解例(SQ2まで)
CQ:3カ月以内に5万人の会員を、予算内で獲得するには?(=目標と現状とのギャップから生まれた問い)
SQ1:現状の1000万円の予算で獲得できる見込み人数は?(=3万人)
SQ2:その差分(=2万人)を埋めるために必要な行動は?

どうだろうか? これが、セントラルクエスチョンを、サブクエスチョンに分解する技術なのだ。まず、セントラルクエスチョンは、目標と現状のギャップから生まれている。一方で、そのあとに生まれたサブクエスチョンは、セントラルクエスチョンを補足するかたちになっている。

優先順位を決める問いをサブクエスチョンに加える

先ほどの「マーケティング例」のメモは、まだ完成していない。言い換えれば、問題を完璧に解ける状態ではないのだ。というのも、サブクエスチョン(=SQ)をすべて解いても、セントラルクエスチョン(=CQ)にしっかりと答えられないからだ。

そして、その理由は「優先順位」にある。優先順位がつけられていない問題を、ほとんどの人は解けないのだ。CQをSQに分解するとは、つまり、優先順位をつけることなのだ。

では、どうすればいいのか? 優先順位をつけるために、問いをさらに1つ足すのだ。たとえば、こうである。

○問いの分解例(SQ3を追加)
CQ:3カ月以内に5万人の会員を、予算内で獲得するには?(=目標と現状とのギャップから生まれた問い)
SQ1:現状の1000万円の予算で獲得できる見込み人数は?(=3万人)
SQ2:その差分(=2万人)を埋めるために必要な行動は?
SQ3:どういう優先順位で、どこから取り組むべきか?

このとき、あなたは、時間や予算という制約条件を踏まえて、「なにを優先的にすべきなのか?」の答えを得られる準備ができた。つまり、SQの3つめは、「優先順位を決める問い」を入れるべきなのだ。

これが、【セントラル・サブの法則】のじょうずな使い方である。まとめると、こうなる。

○【セントラル・サブの法則】を使った問いの立て方
CQ:あなたが最終的に解くべき問い
SQ1:あなたの「目標」をより具体化するための問い
SQ2:あなたの「現状」を踏まえて、やるべきことを明確にするための問い
SQ3:優先順位をつけて、「なにから取り組むべきなのか?」を明確にするための問い