お金持ちアピールする中国はまだ豊かではない
「いつか、真の意味で日本を超えたいと思っています。日本が輝いていた時代がどれほどすごかったかを知っているから。そう思っている中国人は少なくないと思いますが、まだ発展途上だと思います。アメリカは中国にとって最大のライバルですが、個人の中国人からすると、心理的にも距離的にも遠すぎます」
別の中国人はこんなことを話していた。「今の中国は豊かになって、『お金持ちアピール』をする人が増えました。お金持ちであることを隠さないどころか、見せびらかしている。それで気分を悪くしたり、中国人のことを誤解したりしている海外の人は多いと思います。でも、そういう態度をとるのは、中国がまだ本当に豊かになっていない証拠です。
人間は貧しいときはおとなしいし、小さくなっている。成り金になると強気で、途端に『上から目線』になる。もっと豊かになると、自然体で謙虚、冷静になれるのだと思いますが、中国人はまだそうなれていない。虚勢を張らなければやっていけない」
だれもが「中国を世界一に」とは考えていない
「人だけでなく、国家も同じです。だから、つい気が大きくなってしまって、海外に『中国すごいぞ』とアピールをしてしまう。これは悪い癖です。でも、以前よりもずっといい暮らしができるようになって、かなりの国民は満足していると思います」
日本からは、中国政府が挑発的な外交を行い、ナショナリズムを高揚させて、国内の諸問題から国民の目をそらそうとしているように見える。だが、「党は党、国は国、中国人は中国人、自分は自分だ」という一歩引いた気持ちで自国を見ている中国人も多い。
「中国中の人が覇権主義に賛同し、中国に世界でナンバーワンの国になってほしいなんて考えているわけではありません。多くの中国人は自分と家族の生活を守り、ただもっと豊かになることだけを望んでいます。求めているのは社会の安定と家族の幸せ、それだけなんです」