——アクションを起こさないと状況は変わらないという考え方は長年、ビジネスの現場に身を置いてえた実感ですか?
【中村】そうかもしれません。官と民ではカルチャーが違います。
官では行動を起こそうとすると、「それは規則で、あるいは慣行でできません」が、最初の反応である。これでは、前例を踏襲するだけで、新機軸は生まれない。
一方、民では、前例や規則、慣例に縛られない自由な発想と行動力が求められます。
経団連に身を置いた経験がいきた
【中村】いま振り返れば、長年、経団連に身を置いた経験が活きたのかなと思います。
例えば、私は、1990年代後半に会社法の改正にたずさわりました。それまでは法制審議会で学者を中心に議論に、議論を重ねて制度を変えてきた。
しかしそれでは急速に変わるビジネスの現場に迅速に反映できない。
そこで、私は国会議員に働きかけて議員立法で法改正を実現していただきました。そうした改革は、一部の議員に根回ししただけではできません。
野党も含めて、たくさんの人たちに理解していただく必要がある。アクションを起こさなければ、状況は変わらなかった。
官と民の両方で培った経験が、2019年のローマ教皇訪日に、役立ったと感じるのです。(続く)
(聞き手・構成=ノンフィクションライター・山川徹)