今年1月、北朝鮮が7回にわたってミサイル発射を行った。なぜこれほど立て続けに行われたのか。ジャーナリストの宮田敦司氏は「今回のミサイル発射は軍ではなく開発担当部署が主体となっており、目的は挑発ではなく軍事力強化だ。ミサイルの開発を中止すれば体制が崩壊するので、北朝鮮は発射実験をやめられなくなっている」という――。
2022年の優先政策は「防衛力の増強」
1月30日、北朝鮮は今年7回目となるミサイル発射を行った。度重なる弾道ミサイルの発射に対して日米韓は国連安全保障理事会の決議を完全に履行するよう求め、米インド太平洋軍は「違法な兵器開発」だと非難する声明を発表した。
国際社会を敵に回しても続けられる最近のミサイル発射の背景には、次の3点がある。
(1)2021年1月の朝鮮労働党大会で示された「国防科学発展および兵器システム開発5カ年計画」の推進。この計画には「核兵器の小型化と戦術兵器の推進」「大型核弾頭の生産」「極超音速滑空兵器や原子力潜水艦の開発」などが盛り込まれている。
(2)2021年末、金正恩総書記が朝鮮労働党中央委員会総会で、2022年の優先政策として「防衛力の増強」を掲げた。
(3)2022年1月に開かれた朝鮮労働党中央委員会政治局会議で、「一時的に中断している活動の全面再開を検討する」と発表した。